生かすも殺すも

集中力が散漫になってきているのだろうか、初公判が終わってからこのコラムを書くスピードが遅くなってきている。それまでは多い日には4〜5本の原稿を書いていたのに、今、ノリが悪い時には一日1本の日もあるぐらいである。

最低でも一日1本が自分に課したノルマなのだが、それがギリギリになって来ているのだ。もちろん塀の中の生活が単調で書くネタに困るという事もあるのだが、他の何もかもがスローモーになって来ている様な気がしてならない。

拘置所の庭にある桜が満開なのを見ると、あぁ外にいれば花見で浮かれているんだろうなあと、哀しくなってしまう。私が塀の外に出る頃には桜は散ってしまっているのだろう。それを考えると侘びしくて大声で叫びたくなってしまうぐらいだ。


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宗教による価値観

何がしかの宗教を信仰している人の常識と一般的な常識とが、少しかけ離れている事は珍しい事でも無い。逆にかけ離れている所がその宗教の特徴だったりするもので、信心していない者から見れば、非常識な場合も多くあると言えるのでは無いだろうか。

極端な例を挙げるなら、有名なテロ教団オウム真理教などの教えや、していた事は一般的に気違いにしか見えないし、実際に狂っている様にしか考えられない。それでも信者達にしてみれば麻原という人物は神に近い存在だと未だに思われている訳である。

オウム真理教の様に凶悪な宗教団体は特例ではあるが、少なくともそれを信仰していない信者でない人から見れば、一般的に普及している各種宗教にしても、変だなと感じる部分は多分にある事だと思う。


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励まし

拘置所での入浴の時間の事である。本当は禁止されている事だけれど、

「お兄さん、来週で出られるね。」

と、隣房の被収容者から声をかけてきた。何度も書いている通り、私語は禁止とされているので、それ程会話を交わした訳でもないのに、記憶力のいい人だ。私なんて、彼の呼称番号や、出廷日すら気にとめた事も無いので驚いた。自分の事でも無いのに良く知っている。

「よく憶えていますね。来週の月曜日ですよ。だけど、こればかりは蓋を開いてみないと判らないですからね。何とも言えないですけれどね。」

「いやあ。大丈夫だよ。求刑十ヶ月だろ?悪くて執行猶予だよ。まったく心配する事は無いと思うよ


確かに前回入浴の時に、求刑十ヶ月の事は話をしたが、何を根拠に励ましてくれているのだろう。


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焦点

翌週の今頃はもう判決が下っている頃だろうか。それはどういった判決なのであろうか。この時点で考えても仕方の無い事は判っている。だけど、フッと気が抜けると考えている自分がいるのである。自分にとって都合の良い結果はなるべく考えない様にしている。でないとそうで無かった場合のダメージが大きいからだ。

最悪の場合のシナリオは考えている。高等裁判所に控訴して、それから保釈請求をし、とりあえず身の自由を取り入れる。それから高等裁判所の判断が出るまでに、それなりのその後の準備を整えておく。出来れば、離婚も決着つけておきたい所だ。

そんなシナリオ通りに上手く事が運ぶとも考えられないが、それなりに準備をしたり、気持ちを整備したりする事は必要な事では無いだろうか。当日まで何も考えないでボケーっと過ごす事も選択肢の一つではあるだろうけれど、私は気が小さいのか大きくデンと構えていられない。何かと不安を埋める作業をしているのだ。


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情緒不安定の中で

拘置所に拘留されていると世間から取り残されていく様で、変に焦りの気持ちでイライラするものである。私は焦ってイライラしても何も変わらないと思っているので、ある時期からそういう風な事を考えるのを止めにした。

すると今度は考える事が少なくなって、ボーっとしている時間が増えて、時間が経つのが遅くなった様な気がしてきて、それに対して何だか判らないモヤモヤ感を感じる様になり、何をしていいものか判らなくなって来た。

何度も書いている通り、ここで出来る作業は執筆のみだ。読書は別としてモヤモヤ感をぶつけるにも、その感覚が何なのかよく判らないのだから、何を書いていいのかが、まず判らない。メビウスの輪状態で何が何やらどうしようにも困っている次第である。


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